【重飲食とは何?】軽飲食との違いと物件選びを解説
『店舗出店』「重飲食」ってどんな飲食業?物件の選び方は?

飲食店開業を検討する際、物件情報に「重飲食可」「軽飲食可」といった表記を目にしたことはありませんか?
この「重飲食」と「軽飲食」はどういった違いなのでしょうか。
要点まとめ
重飲食とは何?
重飲食とは火を使った本格的な調理を行う飲食業で、軽飲食との違いや物件条件を理解して選ぶことが重要です。
①重飲食は焼肉やラーメンなど火を使い煙や油が多い業態
②軽飲食との違いは調理内容や必要な設備容量にある
③物件ごとに条件が異なるため事前に確認や相談が必要
物件選びにおいて重要な判断材料となるこの区分について、詳しく解説していきます。

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テナント情報に詳しいプロのポイント
賃貸専門家:安達竜哉
資 格:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
賃貸不動産経営管理士の資格保有。特技は少林寺拳法とお部屋探し。奈良の不動産業界で10年以上、単身からファミリーの方など、年間で200部屋以上の仲介実績。特に奈良市内のマンション名を出して貰えれば殆どわかる自信あり。奈良市の賃貸事情に詳しい安達による、暮らしに関するお役立ち情報をお届け。
重飲食とは?軽飲食とは?

「重飲食」というのは、飲食業の調理の度合いや業態について表す用語です。
対となる言葉として「軽飲食」があり、ざっくり言えば火を使った本格的な調理を行う業態の飲食店は「重飲食」調理をほとんど行わない業態の飲食店は「軽飲食」と呼ばれます。
物件の募集条件として「重飲食可」や「軽飲食可(軽飲食のみ)」といった表記が用いられます。
「重飲食可」と表記のある物件は重飲食の店舗も軽飲食の店舗も入居可能ですが「軽飲食可」と表記のある物件には重飲食の店舗は入居できません。
一般的な傾向として、軽飲食業種よりも重飲食業種のほうが入居のハードルが高くなりがちです。
このため、火を使った調理をともなう業態で出店を考えている方は、物件探しの際にご自身の店舗形態が受け入れられるかどうか、慎重に見極める必要があります。
実際のところ、飲食業の中では重飲食に分類される業態が大部分を占めています。
注意が必要なのは、この「重飲食」「軽飲食」の分類に明確な基準がないという点です。
不動産関係者や物件オーナーによって捉えかたが変わるため、同じ言葉でも指す内容が異なることがあります。
よく用いられる「重飲食」の区分は、以下の2パターンです(あくまで目安であり、実際の判断は物件ごとに異なります)。
①2つに分類するパターン(広義の重飲食)
これは、飲食業を「重飲食」「軽飲食」の2つに区分するパターンです。
「重飲食」では、厨房で火を使って本格的に調理します。
これが最も広く知られている重飲食の捉え方です。
軽飲食に比べて、ガス・電気・換気などあらゆる設備で大きな容量が求められます。
飲食店の多くがこの区分に入ります。
「軽飲食」では、本格的な調理は行わず、お酒やコーヒーなど飲み物の提供を中心とします。
食べ物を扱う場合も、調理済みの軽食(サンドウィッチや乾きもの等)や温めるだけで出せるものに限られます。
カフェ・バー・スナックなどが代表例です。
②3つに分類するパターン(狭義の重飲食)
これは、飲食業を「重飲食」「飲食」「軽飲食」の3つに区分するパターンです。
「重飲食」は、火を使う調理業態の中でも、油・匂い・煙の発生が特に多いものを指します。
建物や近隣への影響が大きいため、物件オーナーが最も警戒する業態です。
焼き鳥・焼肉・ラーメン・中華・カレー屋などがこれに当たります。
「飲食」は、火を使う調理業態のうち、上記ほど油や匂いが出ないものです。
レストラン・居酒屋・ダイニングバー・和食店・バルなどが該当します。
「軽飲食」は、2つに分類するパターンの場合と同様の定義です。
重飲食と軽飲食の区別の複雑さ

重飲食と軽飲食の区分けは、実際の現場では思いのほか複雑です。
その理由として、以下のような事情があります。
物件によって判断基準が異なる
テナント募集の時に掲示される「重飲食可」や「軽飲食可」の意味は、物件を所有するオーナーの属性によって異なりがちです。
オーナーが個人またはそれに近い場合は「どれだけ煙や匂いが出うるか」を基準として判断することが多く、ビル事業会社など企業がオーナーの場合は「設備容量の大小」を基準として判断することが多い傾向にあります。
重飲食と軽飲食の区分けの複雑さを示す事例をいくつかご紹介しましょう。
事例①「重飲食不可」でも入居できたケース(ラーメン店)
ある物件では、当初「重飲食不可」とされていたにもかかわらず、ラーメン店が入居できた事例があります。
物件オーナーは「匂い・煙が発生する業態を避けたい」と考えていました。
その理由は、建物自体への悪影響を懸念したことと、匂いや煙が周辺住民のクレームにつながりやすいことでした。
しかし、出店者はセントラルキッチン方式を採用していました。
調理の大半をセントラルキッチンで済ませ、店舗では軽く加工・加熱をするだけでお客さんに提供できる形式です。
そのためラーメン店とは言っても匂い・煙は少なく、調理工程のシンプルさから設備も最小限で済みます。
出店者はこの方式について資料を用いて物件オーナーに丁寧に説明し、オーナーがラーメン店に抱いていた「匂いや煙がたくさん出て、油まみれになる」というイメージを振り払いました。
結果「このお店なら問題は起きなさそうだ」と理解してもらい、入居が実現したのです。
工夫次第では一見難しそうな物件でも出店につながりうるというケースでした。
事例②:「重飲食可」でも入居できなかったケース(カフェ)
逆に、いわゆる「軽飲食」に該当するお店であっても入居できなかった事例もあります。
ある物件は「重飲食も入居できるが、なるべく軽飲食のお店に入居してほしい」という物件オーナーの意向で募集されていました。
そんななかカフェ風ダイニングの出店を希望する方から問い合わせがあり、オーナーも「綺麗なお店になりそう」「油をあまり使わないということだから、匂いや汚れの心配もなさそう」と、前向きに話を進めました。
ところが、問題が浮上しました。
設備容量の問題です。
このカフェ風ダイニングはチェーン店で、一定の出店基準が設けられており「たくさんの調理器具や保存機器を用いる」「通常のカフェより料理の度合いが高い」「設置する業務用エアコンなどの規格が決まっている」という状況――。
つまり、一般的に軽飲食に分類されるお店でありながらも必要な設備容量は重飲食レベルでした。
一方、出店候補の物件はもともと重飲食を想定して建てられたものではありませんでした。
そのためガスは家庭用並の容量しかなく、コンロ2つと給湯器の設置が限界です。
電気も家庭用の容量で、冷蔵庫2つ・家庭用エアコン2つ・室内灯を設置したらもう容量いっぱいという状態でした。
結果として、条件が折り合わず出店を断念することとなりました。
設備容量による入居不可の場合、そこから出店を実現させるのは非常に難しいことです。
もし物件オーナーが設備容量の増設を認めてくれたとしても、初期投資が膨大な金額になるため、断念する場合がほとんどです。
この事例は「重飲食」「軽飲食」の区分を考える際には、煙や匂い以外に「設備容量」も見落としてはいけない観点であることを示しています。
物件オーナーは煙や匂いという点にのみ注目して「重飲食可」として募集していましたが、出店者側は「重飲食可の物件ならば当然十分な設備容量が備わっているだろう」と自己判断し、食い違いが生まれたのです。
重飲食物件を選ぶ際の重要ポイント

重飲食店舗の開業を成功させるためには、適切な物件選びが欠かせません。
物件選びで特に重視すべき点をご紹介します。
立地と物件の基本条件
立地は集客に直結する最も大事な要素です。
人通りやアクセスに恵まれた場所は、集客力が自然と高くなります。
繁華街や駅近などの立地に加え、周囲の競合店の状況や地域性もリサーチして、自店に最適な立地を見極めることがポイントとなります。
物件の広さも大切な検討事項です。
提供したいサービスの規模感やメニュー内容によって必要な広さは変わってきますが、狭すぎては顧客に窮屈な印象を与え、広すぎては無駄にコストがかかってしまいます。
設備面については厨房設備・排気設備の有無を見ることが肝心です。
これらが十分でないと追加で工事をしなくてはならず、初期投資が増加する恐れがあります。
契約前の確認事項
物件契約は形式的なものではなく、事業の運営に直接影響する重要なプロセスです。
契約期間・更新条件・賃料改定に関する規定・解約時のペナルティなど、細かいところまで確認が必要です。
法律や規制面での確認も欠かせません。
重飲食業はとくに厳しく、消防法にのっとった避難経路の確保や、設備の設置に保健所の許可が必要かどうかなど、事前確認をしなくてはならない事柄はたくさんあります。
これらを怠ると、のちのちトラブルにつながる恐れがあります。
コスト面の考慮
物件選びでは初期費用・ランニングコストといったコスト要素の検討が不可欠です。
初期費用には保証金・敷金・礼金などが含まれ、地域や物件により大きく上下します。
あらかじめきちんとチェックしておきましょう。
ランニングコストとしては、家賃・光熱費・保険料など毎月の支出を計画しておく必要があります。
ほか、多くの重飲食業では厨房設備・排気設備といった特殊な設備が必要で、新規設置の場合は追加コストを考慮しなくてはなりません。
また、物件の状態によっては改装や修繕が不可欠で、これによっても初期費用がかさむ可能性があります。
物件選びの際には状態を詳しく見ておきましょう。
長期的な事業運営を考えるならば、設備が老朽化して故障した際の修繕費用も考慮に入れて、積み立てを計画しておくことも大切です。
戦略的な物件選び
希望に合う物件を見つけるには、計画的に動くことが大切です。
不動産会社選びでは、実績があり信頼のおける会社を見極めましょう。
ご自身の求める条件(先ほど見てきた必要とする設備容量の件なども含めて)を具体的に伝えることで、ニーズに合った提案を引き出せます。
また、こまめに連絡を取って最新の物件情報を把握し続けることも重要です。
あわせて、周辺エリアのリサーチと競合他店舗の分析も欠かせません。
出店予定地周辺でどのような需要があるのか、どんな競合が存在するのかを調べることで、自分の店がその地域でどう受け入れられるかが見えてきます。
ライバル店の得意分野や課題を分析・把握し、自店ならではの強みを打ち出すことが、事業を軌道に乗せる重要な鍵となることでしょう。
まとめ~まずは不動産会社に相談を~

いかがでしたでしょうか。
今回は「重飲食」および、対となる軽飲食について見ていきました。
重飲食と軽飲食の区別は、使用する人によって定義が異なる曖昧な概念です。
大まかには調理の度合いで区分されますが、実際には煙・匂い・油の発生量や、必要な設備容量など、複数の観点から判断されます。
「この物件でやってみたい」と思ったら、まずは不動産会社に相談してみることをおすすめします。
物件のオーナー側がどのような意味合いで「重飲食」という言葉を理解しているのか、つど確認しながら進めることで、思わぬ出店機会につながることもあります。
立地条件・物件の広さ・設備要件・契約内容・法律や規制・コスト要素なども多角的に検討し、自分の業態に最適な物件を見極めることが、重飲食店舗の成功への第一歩となります。
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