【貸店舗に住むことはできる?】店舗付き住宅の長所短所や注意点を解説
貸店舗を住居として利用できるのか
貸店舗は本来店として営業するために貸している物件ですが、住居として利用することは可能なのか疑問に思う人もいるでしょう。
今回は貸店舗を住居として利用できるのか、店舗付き住宅のメリットやデメリットなどを紹介していきたいと思います。
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テナント情報に詳しいプロのポイント
賃貸専門家:安達竜哉
資 格:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
賃貸不動産経営管理士の資格保有。特技は少林寺拳法とお部屋探し。奈良の不動産業界で10年以上、単身からファミリーの方など、年間で200部屋以上の仲介実績。特に奈良市内のマンション名を出して貰えれば殆どわかる自信あり。奈良市の賃貸事情に詳しい安達による、暮らしに関するお役立ち情報をお届け。
貸店舗を住居として利用するのは難しい物件もある
店を営業したいと思った場合、貸店舗を借りて営業する人もたくさんいます。
しかし、現在住んでいる住宅から、今後借りる予定の店舗までが遠いので、店舗に住むことができれば楽だと考えることもあるでしょう。
では、貸店舗を住居として利用できるのかというと、店舗として利用する空間と住居として利用する空間が別れている場合は可能です。
それに対して住居として利用する空間が存在せず、店舗として利用する空間しか存在していない場合には難しいでしょう。
店舗用と住居用の空間に分けられている物件を、一般的に店舗付き住宅物件と言います。
このような物件は店舗の営業と同時に、同じ物件で生活することを前提としているので、問題なく住居として使用できます。
それに対して店舗として利用する空間しか存在しない場合、営業許可を取るのが難しくなるのです。
特に飲食店を経営したいと考えているのであれば、営業用の調理場と普段の生活で食事などを作る際に使用する調理場の共用ができません。
営業の許可を取るには、調理場が区画されている必要があるからです。
どうしても店舗を借りて営業する建物と同じところで生活したいと考えているのであれば、店舗付き住宅という物件を探してみましょう。
店舗付き住宅を探すのは難しい場合が多いので、事前に不動産屋に店舗と住居を共用したいと伝えて紹介してもらう方法がおすすめです。
店舗付き住宅で生活をするメリット
店舗付き住宅で生活をする場合、たくさんメリットが存在しています。
どのようなメリットが存在しているのかというと「支払金額を抑えることができる」「通勤時間を必要としない」「満員電車や渋滞の心配がない」「家事や育児などの両立が行いやすい」などがあります。
支払金額を抑えることができる
店舗付き住宅で生活をする場合、店舗と住宅が一体となっているので、家賃は現在借りている物件だけで済みます。
それに対して店舗と住宅を別々に借りている場合には、双方で家賃の支払いが発生します。
さらに光熱費の支払いも双方で発生するので、経済的な負担が大きくなる可能性が高いと言えるでしょう。
店舗付き住宅であれば、家賃の支払いを抑えられるだけではなく、光熱費の支払いを抑えることもできるので、経済的なメリットも大きいのです。
通勤時間を必要としない
住宅と店舗を別々に借りた場合、仕事をするために毎回自宅から店舗まで通勤しなければいけません。
自宅のすぐ近くに店舗を借りられればまだよいのですが、必ずしも自宅の近くに貸店舗があるわけではないので、通勤に時間がかかってしまう可能性もあるでしょう。
特に天気が悪い場合には、通勤するのが億劫になるという人もいます。
しかし、店舗と住居が一体になっている店舗付き住宅であれば、通勤時間を全く必要としません。
天候が悪くても外に出ることなく仕事場に行けますし、通勤時間を削れるので、その分趣味や家事などに時間を割くこともできます。
朝の忙しい時間を有効活用できるだけではなく、帰りの通勤時間も必要としないため、疲れたらすぐ自分の部屋に行って休めるのも大きなメリットだと言えるでしょう。
満員電車や渋滞の心配がない
先ほど店舗付き住宅で生活をしていれば、通勤の時間を全く必要としないと解説してきました。
通勤時間が必要ないということは、毎朝サラリーマンやOLが経験をしている満員電車や渋滞の心配がないことを意味しています。
それほど通勤時間が長くなくても、渋滞をしてしまえばその分通勤に時間がかかりますし、渋滞が酷ければ遅刻をする可能性もあります。
満員電車は利用するだけでもストレスになるので、このような心配がないのは大きなメリットだと言えるでしょう。
家事や育児などの両立が行いやすい
仕事場である店舗と住居が一体化されていれば、仕事をしながら家事を行う、仕事の合間に買い物や食事をすることも可能です。
店舗付き住宅で生活をしている人の多くは、自分が経営者である場合が多いので、時間を有効的に使いやすい環境にあると言えるでしょう。
1人暮らしで仕事も1人であれば、完全に自分の時間が自由に使えますし、家族がいる場合でも家事や買い物に時間を割きやすいです。
店舗付き住宅で生活をするデメリット
店舗付き住宅で生活をする場合、色々なメリットが存在しています。
しかし、メリットだけではなくデメリットもいくつかあります。
それは「原状回復の際に費用が高額になりやすい」「プライベートと仕事の区切りがつけにくい」「業種によっては不衛生になりがち」「集客が難しくなる可能性がある」などです。
原状回復の際に費用が高額になりやすい
賃貸の場合には、店舗であっても住宅であっても退去する際には原状回復の義務が発生します。
賃貸住宅であれば住宅だけの分、貸店舗であれば店舗だけの分に対して費用が発生しますが、店舗付き住宅の場合は双方で原状回復の費用が発生してしまいます。
そのため、賃貸住宅や店舗だけの貸店舗に比べて、原状回復の際に発生する費用が高額になりやすいのがデメリットです。
特に店舗の場合は、住宅に比べて汚れや臭いの発生が酷くなる傾向にあるので、普段からしっかりと清掃を行うことで原状回復の費用を削減できるでしょう。
プライベートと仕事の区切りがつけにくい
店舗付き住宅の場合は、居住空間と仕事場が一緒であるため、プライベートと仕事の区切りがつけにくいというデメリットもあります。
1人暮らしであればまだよいのですが、家族などと複数人で生活をしている場合、作業時間によっては家族に迷惑をかけてしまう可能性もあるでしょう。
1人暮らしだと誰も苦情を言う人がいませんし、怠けていても注意をする人がいないので、疲れたときに短時間休むつもりが長時間休んでしまうなどして、仕事に影響が出る可能性もゼロではありません。
業種によっては不衛生になりがち
店舗で営業できる業種はたくさんありますが、中には飲食店を経営したい考えている人もいるでしょう。
飲食店のような部屋中に臭いが充満してしまいやすい業種の場合、住居スペースも不衛生になりがちです。
換気をして臭いを軽減する、頻繁に掃除をして衛生状態を保つようにしないと、害虫の発生やカビの発生などにより、部屋が不衛生になる場合があるので注意しましょう。
集客が難しくなる可能性がある
店舗専用の物件に比べて、店舗付き住宅の物件を借りた場合は、集客が難しくなる可能性があります。
店舗専用の物件だと、人通りの多い場所や広い通り沿いなどで多く募集をしていることが多いのですが、店舗付き住宅の物件の場合は、人通りの少ない場所や狭い通り沿いなどでも募集をしていることがあります。
そのため、人通りや車通り、駐車場の有無や広さなどもきちんと調べてから物件を選ばなければいけません。
店舗付き住宅を借りるときの注意点
店舗付き住宅を借りたいと思ったときに、注意しておくべき点がいくつかあります。
どのような点に注意が必要なのかというと「住居として使用することが可能なのか確認する」「住民票の登録も必要になる」「用途地域の確認を怠らない」「家賃に消費税がかかる」などです。
住居として使用することが可能なのか確認する
店舗付き住宅を借りる際には、まず物件を探さなければいけません。
しかし、探したときに店舗付き住宅や、住居利用が可能などと書かれているとは限らないので、契約する前に必ず不動産屋に住居として利用することができるのか、事前に確認をしておきましょう。
間取り図を見て居住スペースが設けられているように見えても、実際には住居利用が禁止されていることもあるので、事前の確認は必須です。
住民票の登録も必要になる
店舗付き住宅は店舗として営業するだけではなく、住宅としても利用します。
そのため、営業許可の届け出だけではなく、住民票の登録も必要になります。
営業許可の届け出と同時に、住民票を移すことも忘れないようにしましょう。
用途地域の確認を怠らない
店舗付き住宅を借りて事業を行う場合、事前に用途地域の確認を行いましょう。
用途地域は法律で定められている建築制限のことなので、知らないでは済まされません。
例えば飲食店を経営したいと考えているのであれば、店舗として使用する分の床面積が50平方メートル以下である必要があります。
さらに建物全体の延べ面積が半分未満という条件もあるので、店舗付き住宅を借りるときには注意しましょう。
店舗専用の物件であればこのような条件は適用されませんし、住宅専用の場合は開業自体ができません。
家賃に消費税がかかる
賃貸住宅と貸店舗の大きな違いは、貸店舗は賃貸住宅と比べて家賃が高額になる傾向にあることです。
しかし、家賃は事前に確かめる人が多いので、確認を怠る心配はあまりないでしょう。
重要なのは貸店舗の場合、家賃に消費税がプラスされることです。
これは店舗付き住宅の物件にも適用されます。
ただし、消費税が加算されるのは店舗の部分だけなので、店舗付き住宅だと非課税部分と課税部分が発生し、少々ややこしくなります。
【貸店舗は住居として利用可能?】まとめ
今回は貸店舗を住居として利用しても問題はないのかという点について紹介してきました。
店舗付き住宅という物件であれば、店舗を住宅として利用することは可能です。
貸店舗でも住居の利用が禁止されている物件もあるので、借りるときには必ず確認をしましょう。
また、店舗付き住宅には色々なメリットとデメリットがあります。
双方ともに確認し、自分にとってメリットが多いと思ったら、店舗付き住宅の物件を検討してみるとよいでしょう。
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