【事業用賃貸物件と居住用賃貸物件の違いとは?】異なる点について
事業用賃貸物件と居住用賃貸物件の違い
「資金が貯まったのでお店を持ちたい」「事務所として物件を借りたい」このような場合、居住用賃貸物件ではなく事業用賃貸物件を借りることになります。
事業用賃貸物件は、「住む」ためではなく「商売をする」ために借りる物件です。
そのため、居住用賃貸物件とはいくつか違う点があります。
使用目的が違うのはもちろん、目的の違いによってかかる費用も違い、それにより契約書や入居時の審査も変わってきます。
今回は、事業用賃貸物件と居住用賃貸物件がどのような違いがあるのかについて解説します。
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テナント情報に詳しいプロのポイント
賃貸専門家:木原 一憲
得意エリア:奈良市
奈良での不動産キャリア23年以上の実績。これまで15,000人以上にお部屋を紹介。一人暮らしから家族向けまで幅広い賃貸情報に自信あり。休日は奈良の綺麗な街並みや歴史ある神社・仏閣、美味しい飲食店を巡ること。愛車はKawasaki。渡り鳥並みにズバ抜けた方向感覚を持ち、目印となる建物を伝えれば住所をピタリと一致させる特技あり。賃貸の専門家として様々なノウハウを仕入れ発信中。
使用目的が違う
居住用賃貸物件は人が暮らすために利用すると言う目的になりますが、事業用賃貸物件の場合、「テナント」が商売をするために利用する、と言う目的で借りることになります。
テナントとは、店舗や事務所を貸借して使用する人と言う意味になります。
もっともこれは日本独特の意味でもともとは借家借地と言う意味の言葉でした。
また、家賃も事業用賃貸物件は高めの設定になっています。
というのは事業用賃貸物件の場合多くの人が出入りしたり利用したりするため、物件の傷みが早いからとされています。
かかる消費税が違う
事業用賃貸物件のほうが居住用賃貸物件に比べて家賃が高いのは、家賃の設定のせいだけではありません。
消費税が課税されるかどうかでも違いがあります。
というのは、居住用賃貸物件の家賃には消費税が課税されませんが、事業用賃貸物件の家賃には消費税が課税されるということです。
では住宅兼用事業所の場合、消費税はどうなるのでしょうか。
この場合は事業所の部分と住宅の部分を面積で分け、事業所部分のみ消費税が課税されます。
その他、事業用賃貸物件の場合は、初期費用のうち「保証金(敷金)」以外は消費税が課税されます。
保証金(敷金)は退去時に返還される費用のため非課税となります。
ただし、契約上保証金は返還されないものとされている場合は消費税が発生します。
初期費用が違う
家賃が高いと初期費用も高くなります。前家賃や保証金(敷金)礼金、仲介手数料は「賃料の●ヶ月分」として算出されるため、家賃が高ければその分初期費用も高くなります。
また前述のように保証金(敷金)以外の初期費用に消費税が課税されることも、初期費用が高くなる要因になっています。
さらに事業用賃貸物件では、消費税が非課税となる保証金(敷金)の額も居住用賃貸物件と比べかなり高く設定されていることが多いです。
その理由はもしも事業が低迷した場合、家賃の滞納が起きる可能性が高くなるためです。
つまり、事業用賃貸物件は家賃の滞納リスクが居住用賃貸物件よりも高いということです。
また保証金の設定も家賃の3ヶ月分から6ヶ月分と設定されることも多いです。
これらを総合すると、事業用賃貸物件を借りるための資金もかなり多くの資金が必要になると考えておいたほうがよいでしょう。
入居時審査の内容が違う
使用目的が違うと、入居時審査の内容も変わってきます。
居住用賃貸物件の場合、入居時審査では個人の収入や家賃の支払い能力を重視する審査となります。
一方事業用賃貸物件の場合は、事業の内容や規模、創業年数、売り上げなどがポイントとなってきます。
居住用賃貸物件では家賃の支払い能力を借主の収入などで判断しますが、事業用賃貸物件では事業内容や経営状況で判断されることとなります。
また、審査の内容が違うので、事業賃貸物件では提出が必要な書類が多くなります。
事業目的で借りる物件を居住用として借りてはいけない
じゃあ事業を行う事は内緒にして居住用物件として借りた方が初期費用等が安くなるのではないかと考えたら、それはとても大きな間違いです。
もともと居住用として使用されている住宅に多くの人が出入りすると、ほかに入居されている近隣の人々に騒音などのご迷惑をかけてしまいます。
では、お客の出入りがなければいいのでしょうか?
確かに、お客の出入りは無い、倉庫として利用するだけの物件、パソコンを使うだけの事務室として使うくらいであれば、居住用として借りても良いのではないかと思う人も出てくるかもしれませんね。
しかし「居住用」と言う名目で借りた物件を、「事業用」として使用するのは当然契約違反に当たります。
オーナーさんの立場からすれば、居住用として使用する目的で用意している物件に、1か所でも事業を行なっている物件があれば、さまざまな手続きや費用が発生してしまうため、多くの迷惑をかけてしまうことになります。
発覚すれば違約金の支払いもしくは契約解除を求められ退去しなければならない事態にも発展します。
借りるならば目的に合った物件を借りて決められた用途通りに使用しましょう。
住居兼事務所という使用は可能か
ただし、パソコン1台程度の個人的な事務所を自宅と兼用したい場合、その旨を契約前に不動産会社に伝えておくことで了承を得られるケースもあります。
その場合は、物件探しの段階で不動産会社にその旨を伝えておき、必ずオーナーさんの承諾を得るようにしましょう。
もちろん賃貸借契約書にその旨を記載してもらうことも必要です。
もし、現在は居住用のみでの使用ですが今後、事務所を経営をしたいと考えている場合は、「オフィス利用可」と記載されてある物件を探すのが、のちのちのトラブルが起こるリスクを考えても無難でしょう。
退去時の原状回復について
事業用であっても居住用であっても退去時には原状回復義務はあります。
そして貸借人の原状回復義務についても「通常の使用及び収益によって生じた貸借物の損耗並びに賃貸物の経年劣化を除く」と規定しています。
その部分についても両者共通しています。
さて、事業用賃貸物件では損傷の可能性が高いため、初期費用が一般的に高くなると言うお話を最初の方に書きましたね?
原状回復と言う観点で行けば、さまざまな損傷についてすべて借主負担で直していくと言うのは難しいかもしれません。
そのため、事業用賃貸物件の賃貸借契約では、契約者に特約として借主が原状回復を負担する範囲を明示すると言うことが慣例として多くなっているようです。
【事業用賃貸物件と居住用賃貸物件の違いとは?】まとめ
以上、事業用賃貸物件と居住用賃貸物件の違いについて解説させていただきました。
事業用として物件を借りる場合、居住用ではかからなかった費用がかかる上、必要な初期費用が高くなります。
だからといって、事業用として使用するのに居住用として借りるのは契約違反になるので絶対にやめましょう。
また、住居兼事務所として使用する場合は、あらかじめオーナーさんに許可を取るまたは、オフィス利用可とされている物件を探すなど、トラブルが起こらないよう配慮しましょう。
あなたがこれから始める事業が成功することを心よりお祈りいたします。
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テナント情報に詳しいプロのポイント
賃貸専門家:木原 一憲
得意エリア:奈良市
奈良での不動産キャリア23年以上の実績。これまで15,000人以上にお部屋を紹介。一人暮らしから家族向けまで幅広い賃貸情報に自信あり。休日は奈良の綺麗な街並みや歴史ある神社・仏閣、美味しい飲食店を巡ること。愛車はKawasaki。渡り鳥並みにズバ抜けた方向感覚を持ち、目印となる建物を伝えれば住所をピタリと一致させる特技あり。賃貸の専門家として様々なノウハウを仕入れ発信中。