【飲食店開業に向けての準備】必要物・確認ポイントを解説!
【必要資格・資金集め】飲食店を開業したい!どんな準備が必要?
飲食店の開業を考えた時に、準備としてするべきことがいくつもあります。
どんなことを確認し準備する必要があるでしょうか。
必要となる資格やかかる費用の内訳、資金集めの方法、必要な手続きについてなど、ポイントごとに整理し詳しく解説してゆきます。
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テナント情報に詳しいプロのポイント
賃貸専門家:木原 一憲
得意エリア:奈良市
奈良での不動産キャリア23年以上の実績。これまで15,000人以上にお部屋を紹介。一人暮らしから家族向けまで幅広い賃貸情報に自信あり。休日は奈良の綺麗な街並みや歴史ある神社・仏閣、美味しい飲食店を巡ること。愛車はKawasaki。渡り鳥並みにズバ抜けた方向感覚を持ち、目印となる建物を伝えれば住所をピタリと一致させる特技あり。賃貸の専門家として様々なノウハウを仕入れ発信中。
飲食店の開業に必要な4つのポイント!
カフェ・レストラン・居酒屋・ラーメン店……美味しい食事と楽しい時間を提供する飲食店は、私達の日々を豊かなものにしてくれます。
そんな飲食店を開業したい、そう思った時には一体どんな準備が必要なのでしょうか。
商売として不特定多数の方を招き入れるうえ、人の口に入るものを扱う場ですから、開業にあたってはいくつもの「しておかなければならないこと」があります。
わかりやすいようにまとめると、
・必要資格の取得
・開業に必要な費用の確認
・補助金・助成金の受給についての確認
・事業計画書の準備
この4点をまず行う必要があります。
資格については、飲食店を開業するにあたっては「食品衛生責任者」という資格が最低限必要になります。
お店の収容人数が30人以上の店舗であればそれに加えて「防火管理者」の資格も必須となります。
食品衛生責任者とは読んで字のごとく、お店で食中毒を起こしたり食品衛生法に違反するような行いをしたりしないために食品を衛生的に扱う管理運営にあたる人のことです。
飲食店には店舗ごとに必ずこの資格をもった方が1人必要で、開業する際に保健所に届け出ることになります。
防火管理者とはお店の建物で火災などによる被害が発生しないように、防火管理についての消防計画をつくり、防火にあたって必要ないわゆる「防火管理業務」を行う人のことです。
お店の収容人数が30人以上であり、なおかつ延床面積が300平米以上であれば甲種防火管理者、延床面積がそれ未満であれば乙種防火管理者という資格をもった方が必要になります。
ちなみに必要な資格について、よく聞く「調理師免許」は要らないのかと疑問に感じられた方もおられると思いますが、飲食店の開業にあたって調理師免許は無くても問題ありません。
調理師免許とは「調理師」を名乗るために必要な免許です。
しかし、実はその肩書が無ければ業務としての調理を行うことができないということではないのです。
ただしお店で調理を担当する方が調理師の資格を持っていればお客さんの信頼に繋がりますし、きちんとした調理上の知識を持っている人が居るということはお店にとっても衛生・安全面やより美味しいものを提供する点において大いにメリットのあることですから、取得しておいて損はない資格ではあります。
続いて開業費用について。当然ながらお店を開業しようと思ったら相当のまとまったお金が必要になります。
そして少なくとも開業後しばらくの分は運転資金も確保しておかないとすぐ資金不足になって苦しい思いをしてしまいます。
実際にどのくらいの費用が必要になるのかはちゃんと下調べして把握しておきましょう。
開業にあたってまずかかってくるのは「物件の取得に必要な費用」「店舗の内外装工事や備品の購入など(=店舗投資)に必要な費用」の2つです。
店舗投資を安く抑えるために以前にも店舗のあったところを内装や設備そのまま居抜きで使うなど工夫はできますが、どちらにしても総合して多くのお金はかかりますので、後の項目で詳しい説明をすることにします。
公からの補助金や助成金がもし受けられれば開業費用を集めるうえで大きな助けになりますから、それについての確認も大切です。
補助金は経済産業省や中小企業庁から、助成金は厚生労働省から主に受給することになります。
いずれも受給には一定の条件があり申請をしたうえで審査結果を待たなくてはならないので、希望されるのであれば早めに準備をしておくことが肝心です。
補助金や助成金の例としては、小規模事業者が複数年にわたって事業を続けていくうえで必要な販路開拓等にかかる経費の補助を目的とした「小規模事業者持続化補助金」、わが国の経済の活性化を目的として創業に関する経費の一部を助成する「地域創造的企業補助金」、中小企業等の事業の承継・再編・統合にともなう経営革新や事業転換にかかる経費の一部を補助する「事業承継補助金」などがあります。
4点目は事業計画およびそれをまとめた事業計画書についてです。
開業にあたっての資金を金融機関から融資してもらう際には、この事業計画書が必要になります。
また融資に関してだけではなく、開業されるご自身がどのように事業を進めていくかを整理することにもとても役立つものなので、とくに飲食店の開業は初めてという場合には準備しておくことをおすすめします。
開業資金はどのくらい必要?どうやって調達する?
飲食店の開業にあたっては多額の費用がかかるというお話はしました。
では実際にどのくらいかかるのか、その詳細について見ていくことにしましょう。
飲食店の開業にかかる主な費用は次の通りです。
・物件を借りる際の敷金・礼金・家賃
・内外装の工事費用
・調理器具・食器などの購入費用
・食材・調味料などの原材料費
なおかつ事業を継続していくためには次のような費用が毎月かかってきます。
・従業員の給与・社会保険料
・物件の月々の家賃
・水道光熱費
これらの費用を総合して具体的にどのくらいの額になるかは、お店の業態・規模・立地になどによって大きく異なります。
しかし一般的な目安として、個人で小規模な飲食店を開業するのであれば500万円~1000万円程度が必要になると言われています。
それだけのお金を手持ちの資金だけで賄うことはなかなか難しいというケースも珍しくはありません。
その場合は資金調達をする方法を考えなくてはなりませんが、どのような選択肢があるでしょうか。
①金融機関からの融資
②自治体からの融資
③クラウドファンディング
よく用いられる方法としてはこの3つがあり、それぞれに特徴がありますのでご自身に合ったものを検討してみてください。
まずは金融機関からの融資。
メガバンク・地方銀行・信用金庫・信用組合などから融資を受けるパターンです。
ただし銀行からの融資は開業して間もない状態ではなかなかハードルが高い傾向にあります。
そういった場合は日本政策金融公庫に相談をしてみることをおすすめします。
民間の金融機関では対応の難しい分野への資金貸付を主な業務としている機関です。
次に自治体からの融資。
「制度融資」と言って自治体からの認定を受け信用保証協会が保証する融資を利用するというパターンです。
申し込み窓口が自治体であるという安心感や、場合によっては利息を一部負担してくれるケースもあるなど利用への気持ち的な障壁が少ない選択肢と言えるかもしれません。
また信用保証協会による保証のおかげで開業したばかりでも利用がしやすいため、そういった意味でもハードルは低めです。
最後にクラウドファンディング。
資金を集める手段として近年注目の高まっているインターネットを活用した方法です。
ネット上で不特定多数の方に呼びかけて賛同者からの資金提供を受けるという手法で、上手く行うには事業内容を詳細かつ魅力的に説明しアピールすることと、資金を提供してくれた方に物だったりサービスだったりといった有益なリターンを提供することが大切になります。
クラウドファンディングを行うためのサービスがネット上にいくつかあり、利用手数料が発生する場合もありますが、資金調達と合わせてお店の宣伝やマーケティングにも繋がりますので、いざ開業した際の集客がしやすくなるというメリットも魅力的な方法です。
開業に必要な手続き・書類について
飲食店を開業するには様々な手続きも必要になります。
それにあたって複数の必要書類を準備し、提出しなくてはなりません。
書類によって提出先や提出期限が異なるので、きちんとチェックして情報を整理しておきましょう。
営業許可申請書
食品営業許可申請は、食品衛生法もしくは東京都食品製造業等取締条例に基づいたお店の営業許可を受けるために必要な手続きです。
施設の工事が完了する予定日の10日ほど前に、書類を保健所へ提出します。
個人事業の開廃業等届出書
新しく個人事業を始める際に提出するもので、いわゆる「開業届け」と言われるものと同一です。
毎年の確定申告において青色申告をするにはこちらの届け出が必須です。
開業日から1ヶ月以内を原則として、所轄の税務署に提出します。
社会保険加入手続きの書類
会社を設立して法人という形で飲食店を営業するには社会保険への加入の義務が生じます。
社会保険とは健康保険・厚生年金・労災保険の3つをまとめた呼び名であり、うち労災保険は従業員を雇う場合に加入する必要があります。
健康保険と厚生年金は年金事務所へ、労災保険は労働基準監督署へ書類を提出して加入手続きを行うことになります。
雇用保険加入手続きの書類
雇用保険は上の労災保険と同じように従業員を雇う場合に加入しなければならないものです。
書類については雇用保険適用事務所設置届と雇用保険被保険者資格取得届の2種類があり、前者は会社設立時もしくは従業員を雇うことになった時に一度だけ、後者は新しく従業員を雇うたびに提出することになります。
雇用保険適用事務所設置届は会社の設立日の翌日から10日以内、もしくは従業員を初めて雇った日の翌日から10日以内に提出します。
雇用保険被保険者資格取得届は新しい従業員を雇った翌月の10日までに提出します。
提出先はいずれも会社のある地域管轄の公共職業安定所(ハローワーク)となっています。
防火や火気の扱いに関する各書類
こちらは「防火管理者選任届」「防火対象設備使用開始届」「火を使用する設備等の設置届」の3種類があります。
まず防火管理者選任届は、必要資格のところで触れた「防火管理者」の資格を持つ人を立てなければいけない場合に提出する書類です。
防火対象設置使用開始届は、お店のある建物の使用を開始する7日前までにその旨を届け出る書類です。
そして火を使用する設備等の設置届は、厨房設備や給湯湯沸設備など火災発生の恐れがある設備を新たに設置するにあたってそのつど届け出る必要のある書類です。
いずれもお店のある地域管轄の消防署か消防出張所に提出することになります。
まとめ~開業準備は時間と心の余裕を持って~
いかがでしたでしょうか。
今回は飲食店の開業にあたって必要な準備について見ていきました。
資格や資金・事業計画・各種届出と、するべきことは実に多岐にわたり、確認しておかなければならないチェック項目もたくさんあることがわかります。
しかしどれも開業に必須なことだったり開業したあと円滑に営業していくために必要なことだったり、いい加減にするわけにはいきません。
なかでも融資を受ける手続きなど資金集めには相当な時間がかかりますから、時間の余裕をもってひとつひとつ確実に進めてゆくことをおすすめします。
焦らなくてはならない状態では心の余裕もなくなり、思わぬリスクを背負ってしまう恐れがありますよ。
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