【店舗家賃の相場は?】適正賃料の計算式・判断基準も詳しく解説!
「コスト削減」今の店舗物件の家賃は適正?適正化についてご紹介!

店舗の家賃が適正かを検討し、必要に応じて適正化する――コストを削減する方法として有効な手段のひとつです。
賃料の適正化はどのように進めていけばよいのでしょうか。
適正化を阻む問題点や要点、どうやって賃料を決めるかなど、詳しく解説していきます。

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テナント情報に詳しいプロのポイント
賃貸専門家:安達竜哉
資 格:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
賃貸不動産経営管理士の資格保有。特技は少林寺拳法とお部屋探し。奈良の不動産業界で10年以上、単身からファミリーの方など、年間で200部屋以上の仲介実績。特に奈良市内のマンション名を出して貰えれば殆どわかる自信あり。奈良市の賃貸事情に詳しい安達による、暮らしに関するお役立ち情報をお届け。
家賃が適正かを知るには家賃相場がカギ

お店をやっていくにあたって、店舗の家賃は毎月かかってくる大きな固定費です。
健全な経営のためには、「今支払っている家賃の額は適正かどうか」を検討するのは重要なことです。
店舗の賃料が適正かどうかを検討するには、店舗のあるエリアの家賃相場(賃料相場)を知る必要があります。
家賃相場はずっと一定ではなく、そのエリアおよび周辺エリアの環境変化や需要と共有の変化などにより常に変動します。
したがって、店舗物件を契約した際には適正な家賃だったとしても、現状の相場からすると高い家賃を払っているという場合もあります。
店舗家賃が適正かどうかの見極めは、定期的に行う必要があるということです。
近年の店舗賃料相場の動向および奈良の相場について

このところの店舗賃料相場の動向について、地域や業種によるものの、大都市部ではコロナ禍の下落からの上昇傾向にあります。
そのいっぽう、地方都市や郊外においてはコロナ禍以後も空きテナントが残る場所が見られ、エリアによっては賃料相場の変動は横ばいもしくはゆるい上昇にとどまっています。
業種別で見ると、飲食店向け物件はとくに需要回復による賃料相場の上昇が大きく、飲食店不可物件の賃料相場よりも坪単価で5割以上高い水準になっています。
集客力に優れる駅近物件の人気はやはり根強いほか、テイクアウト・デリバリーという選択肢の需要増加にともない、郊外の物件の注目度も上がってきています。
なお、奈良において店舗物件が最も多く集まっているのは奈良市、とくにその中心地である近鉄奈良駅やJR奈良駅・新大宮駅近辺です。
奈良市の店舗賃料相場は坪単価でおよそ7,500円。
奈良の他エリアは約5,000円~7,000円であるのに対して突出して高い相場であるとは言えませんが、主要駅に近い物件のなかには坪単価1万円を超えるもの、なかには坪単価3万円近い店舗物件も見受けられ、需要の高さがうかがえます。
家賃適正化を阻む問題点と適正化のための要点

高すぎる家賃を支払っていると判断できたら、適正化を試みます。
家賃の適正化は継続的なコスト削減を可能にし、削減した費用は店舗サービスの充実・品質向上にあてることができます。
人件費や仕入れ費用・水道光熱費といった変動費の削減を試みるのとは違って、店舗の経営に大切なものを一部犠牲にするわけではないため、商品・サービスの質を落とす心配がありません。
むしろ改善につなげることができるのは、家賃適正化の非常に大きなメリットです。
しかしながら、家賃の適正化にあたっては、それを阻むいくつかの問題点も存在します。
以下、3つの項目に分けて解説しましょう。
①「契約後に賃料の値下げは不可能」という固定観念があること
問題点ひとつめは、貸主・借主の双方に「契約後に賃料の値下げは不可能」という固定観念があることです。
一般的に貸主は、契約後に家賃を値上げすることはあっても、値下げの対応は行いません。
貸主としても「物件を貸してもらっている立場」という意識があるため、家賃の減額交渉には消極的になりがちです。
現在は法律で賃料の増減請求権が認められているものの、その法律が定められたのは平成の初期。
それ以前の「賃料が下がることはない」という認識がこんにちでも尾を引いている実情があるのです。
こうした「値下げは不可能」という固定観念から、コスト削減の発想が家賃の削減へと至らず、変動費を削っていき、経営が悪化していくというケースは少なくありません。
②知識・情報不足によって効果的な交渉ができないこと
問題点ふたつめは、専門的な知識・情報の不足により効果的な交渉ができないことです。
せっかく収集した資料を扱いきれなかったことで期待していたほどの家賃の減額に至らず「時間や労力を浪費してしまった」と感じる結果に終わってしまう。
これは避けたい事態です。
「今回の交渉が思ったようにいかなかった。ならば次」と、何度も交渉を持ちかけるわけにもいきません。
そんなことをすれば貸主の心証が悪くなり、関係性を損ねてしまいかねないからです。
一度の交渉でいかに上手く立ち回れるかは、非常に重要なことなのです。
③適正化からかけ離れた値切り交渉によって貸主との信頼関係が悪化すること
問題点みっつめは、賃料適正化という前提からかけ離れた値切り交渉によって貸主との信頼関係が悪化することです。
借主にとってみれば、賃料が安いに越したことはありません。
ですが貸主の立場は違います。
大事なのは、目的は賃料の適正化(つまり、賃料を相場に合わせること)であるという前提を両者で共有して妥協点を見出すことなのです。
家賃相場に関する十分なデータもなく一方的な値切り交渉をすれば、貸主に不信感を抱かせてしまうことになります。
そうなれば、以後の家賃交渉はさらに難しくなるでしょう。
以上3つの問題点を踏まえ、賃料適正化のための要点をまとめると、次のようになります。
・契約後の賃料の値下げは可能(ただし契約内容による)
・地域の家賃相場についてなど、適切かつ十分な資料と情報が必要
・一方的な値切りではなく適正価格に合わせることを目的とする
もっとも大切なのは借主・貸主の両者が納得できる交渉であること。
家賃の減額が正当なものであることを裏づける十分な資料を用意して、お互いの信頼関係を築きつつ進めていきましょう。
適正な賃料を割り出す方法は?

賃料適正化の際、どのような方法で再設定する適正な賃料を割り出せばよいのでしょうか。
主な4つの方法をご紹介しましょう。
①利回り法
利回り法は、現行家賃と現行家賃設定時点での土地の基礎価格をベースに継続賃料利回りを算出し、その利回りを現在の土地の基礎価格に乗じたうえで必要諸経費(税金や管理費など)を加え、新たな賃料を試算する方法です。
式で表すと以下のようになります。
現在の基礎価格 × 継続賃料利回り + 必要諸経費
この方式で求めた賃料を、積算賃料と言います。
②差額配分法
差額配分法は、まず対象となる物件とよく似た物件の賃料などから「あるべき賃料」を割り出します。
そののち、新規賃料と現在の賃料との差額を算出し、その何割かを「あるべき賃料」に上乗せする方法です。
この差額の処理については「貸主・借主に配分される」という考え方になります。
計算の流れを式で表すと以下の通りです。
現在の賃料 + (新規賃料 - 現在の賃料) × 差額配分率
差額配分率、つまり差額をどういった割合で配分するかについては、差額が発生した原因などから適切に割り出し設定することが求められます。
③スライド法
スライド法は、現在の賃料に価格の変動率を乗じて新たな賃料を割り出す方法です。
変動率は現在の賃料に合意した時点から現時点までに、どれほど物価や所得水準の変動など経済情勢が変化したかをもとに算出されます。
式で表すと、以下のようになります。
現在の賃料 × 変動率
変動率を求めるための具体的な指標としては、家賃指数・路線価格指数・賃金指数・消費者物価指数・GDPなどがあります。
④賃貸事例比較法
賃貸事例比較法は、対象となる物件と類似した物件の賃料事例をもとに新たな賃料を算出する方法です。
比較対象となる類似物件の数が多いほど正確に賃料を算出できると言われており、いかにたくさんのデータが集められるかが重要と言えるでしょう。
お店にとって賃料が適正であるかを判断するポイント

店舗賃料を適正化するには、借主側が「この店をやっていくにあたって今の賃料が適切なのか」を把握することも大切です。
そのためのポイントを3つ、ご紹介しましょう。
①賃料が業績に見合っているか
まずは、現在の賃料が現在の業績に見合っているかどうかという点です。
店舗物件を借りた当時、集客や売り上げが「こうなっていく」という想定があって、現在の家賃の物件に入居したのでしょう。
それが今現在、きちんと想定通り達成できているのかを確認しましょう。
思うように集客や売り上げが伸びていないようならば、今の家賃を払いながら営業を続けるのは経営にとって大きなマイナスになりかねません。
想定していた通りの業績をあげられているかどうかを見ることで、賃料の適正化の必要性が判断できます。
②賃料が立地に見合っているか
次に、現在の賃料が現在の立地に見合ったものであるかどうかという点です。
物件の立地や周辺環境がお店の業績にプラスになっているかどうか、たとえばお店に来てほしいターゲット層が今でも多く集まる立地となっているかなどのリサーチが必要です。
時間経過によって周囲の状況は変わっていくものですから、物件を契約した当時と人の流れなどが変化している可能性があります。
周辺環境の衰退によって、そのエリアを訪れる人が大きく減ってしまっているかもしれません。
そうなれば、集客力の低下によって物件の適正賃料は下がっていると見ることができるでしょう。
賃料の適正化には、外的要因の確認をこまめに行うことも重要ということです。
③賃料が売上の7%~10%に収まっているか
最後に、売上に対する賃料の割合が適切かどうかという点です。
一般的な目安として、店舗の家賃は売上の7%~10%が適切と言われています。
業種や経営スタイルによる違いはありますが、基本的にはこの範囲に収まっているかを確認するとよいでしょう。
たとえば、月400万の売上ならば、月28万円~40万円ぐらいの家賃が適切ということです。
家賃が売上の7%~10%を超えているようならば、適正な賃料に収まるよう、見直しが必要であると言えるでしょう。
まとめ~家賃の適正化で円滑な店舗経営を~

いかがでしたでしょうか。
今回は店舗賃料の適正化について見ていきました。
家賃は店舗経営に必要な経費のなかでも額が大きなものです。
そして、一度契約した後は店舗の売上・収益とは関係なく固定の額を支払うことになります。
毎月支払っている家賃が適正であるかどうかに目を行き届かせ、必要があれば適正化を試みることは、コストを削減して円滑にお店を経営していくための有効な手段のひとつであると、店舗経営者の皆様にはぜひとも頭に入れていただければ幸いです。
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